I
いや、参った参った(^_^;;;;;;;
思いっきり事故ってしまいました。 演奏家協会の会議のあと何人かで食事をして、そのうちひとりを送って帰る途中だったのですが、右折しようとして、対向直進車とガッチャン。
……というと私のミスみたいですが、そこの交差点は高速の下ということもあって少々複雑になっており、右折信号機が別になっています。その時間帯、対向車線が青・黄信号の時にはその右折信号機は黄色点滅、対向車線が赤になった時には青矢印が出るようになっています。 青矢印が出ていたので、当然そのまま進んだわけです。 あとで警察の人から 「停まろうとはしなかったんですか」 と訊かれましたが、そんな状況で停まる人はいないでしょう。矢印の表示はとりわけ短いし。 相手はタクシーで、幸い客は乗っていなかった模様。すぐに通報し、警官が着くと、最初から黄信号で突っ切ろうとしたことを認めていましたので、私の方はほぼ問題なし。こちらは完全に矢印が出ていたのですから、突っ切ろうとしたのが黄信号としても、限りなく赤に近いタイミングだったはずです。 そんな無茶をするのはタクシーには珍しいことで、深夜近く、交通量も少なかったので、つい魔がさしたというところなのでしょうか。 こちらは前方から左にかけてかなりの損傷。タイヤのところが凹んでしまったのでハンドルが利かず、自走できなくなってしまいました。やむなくレッカー移動。 相手は右前を破損していたようでしたが、自走はできたみたい。 私は無傷でしたけれど、助手席に乗っていた協会の仲間が軽く頭を打ったようでしたので、本人は大丈夫と言いましたが一応救急車で病院へ。ドアの上の把手をつかんでいたせいか、ぶつかった勢いはそんなになかったようです。ただ、やはり変な力がかかったらしく、首の付け根のあたりが少々痛む様子でした。申し訳ない次第ながら、その人にとっては災難だったとしか言えません。私のクルマに乗ったばかりに、お気の毒でした。
警察署に連れてゆかれて調書をとられました。 先方が最初からミスを認めているので、私の方はすこぶる簡単に済みました。最後に訓戒するように、 「矢印が出ていても、一応左側をもう少し確認するようにしないと」 と言われました。それはまあごもっともですが、言わせて貰えばそこは高速道路の支柱のため見通しが悪く、気がついた時にはもう遅かったのです。 「え、なんでなんで?」 と思ううちにするすると横から突っ込んできて、回避しようと右ハンドルを切ったけれどもとても間に合わなかったのでした。 保険会社がこれからどう裁定するかわかりませんが、こちらの責任は軽いはずです。ただ双方走行中の事故というのは、なかなか過失比率100ー0というわけにはゆかないと聞きますが……
と、ここまで書いたところで私の契約保険会社から電話。昨夜連絡しておいたのでかかってきたわけです。 相手側が信号無視を認めているのであれば全面的に向こうの過失なので、先方の契約保険会社に任せることになるとか。同乗者の治療費などはそれで出るはずですが、肝心の損害賠償については、 ──車の現在の市場価格と、修理に掛かる費用とを較べて、安い方を限度とする。 ということらしい。平成元年型のシルビアではもう価格など20万を切っている可能性があります。一昨年知人から譲り受けた時、ディーラーに見積もらせたら「10万円」と言われたので同じ値段で私に譲ってくれたという事情があります。店頭ではその何倍の値がつけられるのかは知りませんが、まあ大したことはないでしょう。してみると、修理費の方がはるかに高くつくはずで、結局私の懐もだいぶ痛むことになりそうです。示談金くらいは入るかもしれませんが、どのくらいの足しになるものやら。
まあそれにしても、大惨事にならなかったのは幸いでした。右折というのがかなり角度の大きな交差点だったのと、私が右に回避しようとしたので、両車の相対速度がかなり小さくなっていたおかげでしょうか。 同乗者に後遺症が出ないかどうかだけが心配です。相手の運転手も、何やら首筋を押さえていたようですが、それはまあ仕方のないことでしょう。朴訥そうな人で、そんなに無理をしそうにも見えなかったのですけれど、ハンドルを握ると性格が変わるのかもしれませんしね。 とにかくタクシー運転手だけあって処理はスムーズだったのでこちらの心証も悪くなりませんでした。もっとも、上司に報告したら 「バカ、なんですぐ信号無視を認めたりしたんだ。こっちの全面過失になっちまうじゃないか」 と怒鳴られているかもしれませんが……
本番を3つも間近に控えている現在、怪我なんかしてしまってはえらい騒ぎになるところでした(というか死んでたら?……考える気にもなれません)。自分が無傷で済んだのは、まったく天がそうしてくれたからであるように思えます。 今回に限らず、私はわりと「あわや……」というような経験をしている方で、なんとか生き延びているのは、やるべきことが残っているからなのかな、という気もします。そう考えると、毎日をあだやおろそかに生きるわけにはゆかなさそうですね。
(2001.12.11.)
II
クルマの事故に遭った話を書きましたが、その後どうなったかと、だいぶ心配してくださったかたがおられたのはありがたい限りです。ある程度結果が出てから続報を書こうと思っていたのですが、なかなか進展しないまま日が経ってしまいました。 更めて状況を記しますと、12月10日の深夜のこと、板橋の仲宿交差点で山手通りから中山道上り方向へ右折しようとした私は、右折信号に従って進んだところ、対向車線を直進してきたタクシーにぶつかってしまったのです。演奏家協会の仲間を家まで送る途中で、私は無傷で済みましたが、同乗者が軽く頭を打ったようだったので救急車で病院へ運びました。 かけつけた警察官に、相手の運転手は、黄信号で進入したと説明。私自身はその運転手とはほとんど話をしませんでした。わりと朴訥そうな人で、取り調べが済んでから、 「明日上司と相談して、なんらかのご挨拶に伺うと思います」 と言っていたのですが、その後本人からもタクシー会社からも、なんの連絡もなし。
同乗者は頭を打ったことについては大丈夫だったのですが、やはりちょっと筋でも傷めたらしく、何日かして首筋が痛んできたので、しばらく通院することになりました。それでタクシー会社の方にその旨連絡したところ、事故担当が出て、けんもほろろな応対だったとか。こちらには非はないのだからあなたが通院しようが関係ない、という調子だったそうです。 私はそれまで、自分の保険会社に任せていたのですが、一度直接タクシー会社と話した方がよいと言われ、電話してみました。 「うちで過去の判例をチェックしたところ、黄信号で進入した直進車と右折車の衝突事故の場合、過失配分は右折車が8、直進車が2という判例が出てたんですね。ですからうちとしては、その線で処理しています。 大体、青の矢印になったからって、普通そのまま右折しようとしますかね。対向直進車がないか、注意するものでしょう。私だったら怖くて行けないですがねえ」 をいをい、と思いましたが、その場で喧嘩しても埒があきませんので、とにかく保険会社に報告しておきました。 タクシーやトラックとは事故を起こすものではない、とそれまでにもいろんな人から言われていました。海千山千の事故担当が出てきて、いいように丸め込まれてしまう。保険会社の方もそういう営業会社とはあまりもめたがらないので、こっちが悪いことにされてしまうというのです。事故担当の言いぐさを聞いて、まったくそうだったと思いました。双方走行中の事故ですからこちらも無過失というわけにはゆくまいとは思っていましたが、まさか私の方が8割などと言ってくるとは想像もしていませんでしたので、あっけにとられてしまったというのが正直なところです。
馴れないものですから、相手の運転手が警官に向かって、黄信号で進入したと説明しているのを聞いて、さっさと非を認めたのだな、と思ってしまったのですが、黄信号での進入というのは非にならないらしいです。まあ確かに、「安全に停止できない場合はそのまま進入できる」信号だということはわかっていますが、まさか「安全に停止できない状況」であったとは思えなかったというのが落とし穴でした。なんのことはない、運転手は黄信号での進入ということを真っ先に言うことで、自分に過失はないということを主張していたわけで、それを耳にして ──なかなか誠実な運転手じゃないか。 などと感心した私がおめでたかったというわけ。 もっとも、黄信号でなくて赤信号だったろうことはほぼ確かで、何しろこちらは完全に右折信号になっていたのです。普通の交差点ではなく、かなり複雑な形をしている交差点で、まず青信号で右折車線に入ると、その先に直進信号機とは別に右折用信号機がついており、そこの青矢印を見て右折路に入るという仕組みになっていました。青矢印が出ていない時は、その時間帯では黄信号点滅となっていますが、私はその黄信号を見た記憶がありません。つまり、私が右折車線に入った時はすでに青矢印になっており、従って対向車線の信号は赤になっていたはずなのです。 おそらく、ヤバい時は黄信号で進んだと言え、ということがタクシー会社の裏マニュアルにあるんではないかと思います。黄信号というのは微妙な状態であって、青信号で進んだという場合と較べて事実関係がはっきりしづらいですから。赤になっていたはずだとは思うものの、相手が赤ギリギリの黄色で進入してきていて、通過中に赤になったということも確かに考えられなくはないわけで……しかし、これだと「安全に停止できな」かったとは思えませんけどね。 そう気がついて思い返せば、その運ちゃん、一度も謝罪めいたことは口にしませんでした。上司と相談して挨拶に伺うと思う、と言っただけです。言質をとられるな、というのも鉄則なのでしょう。
相手に非がある場合は相手の保険会社が処理することになるので、こちらとしては動けない、と保険の担当者に言われていたのですが、8:2で私が悪いなんてことを言われましたので、ともかく同乗者の通院費についてはさしあたり私の保険を使うことにして、調査会社が入ることになりました。 「調査会社だってタクシー会社とかとはことを荒立てたくないだろうから、きっと向こうに有利な裁定を下すぞ」 と何人かに言われました。とはいえまあ、こちらの保険会社だって保険金をふんだくられるのはいやでしょうから、調査会社にもチェックを入れるはずです。 年明けになってから、調査会社の人がやってきて、私に事情聴取をしてゆきました。 「こちら様としては、過失配分はどのくらいだとお考えですか?」 「いや、どういう状態の時にどういう配分になるのかわからないからなんとも言えないんですが、とにかくこちらの方が過失が大きいというのは、納得行きませんねえ」 「ごもっともです」 調査員はそう言って帰って行きましたが、それからひと月、音沙汰がありませんでした。 その間に私のクルマは結局廃車にすることが決まり、レッカー代だの廃車手数料だの、少なからぬ費用を払わなければなりませんでした。
昨日になって、保険会社の担当者から留守電が入っており、調査会社の結論が出たとのこと。 「向こうの証言に整合性がないということで、過失配分はMICさんが1,向こうが9という結果になりました」 よっしゃ!! てなもんです。 双方走行中の事故の場合、10:0ということはあり得ないそうですから、1:9というのはほぼ完全に向こうの過失という結論と言ってよさそうです。 そう来なくっちゃ。 もっとも、この結論をタクシー会社が呑むかどうかはこれからの問題で、異議を唱えてさらに長引くことになるかもしれませんけれど。 ともあれ、さしあたっての結果が出ましたので、心配してくださった皆様にご報告をおこなう次第です。
(2002.2.9.)
III
炎のコンティヌオさんが高速道路で危うく大惨事になるところだったというお話がありました。 東名高速の渋滞を抜けたところで、それまでのイライラを振り切るようにがんがんスピードを出したところ、中央分離帯に180キロで突っ込んだそうで。いや、怪我がなかったのが不思議なくらいです。怪我どころか、突っ込む角度とか、後続車までの距離とかによっては、本当にえらいことになるところでした。幸い後輪がひとつパンクしただけで、御本人も無事、クルマも眼に見えるほどのダメージをこうむらなかったというので、まずは安心しましたが、この時期、交通事故には充分ご注意下さい。 ところで私の交通事故その後。 調査会社が1:9という結果を出したことは前に書きました。私が1、相手のタクシー会社が9です。この結果をタクシー会社が呑むかどうかでしたが、旅行中に何度か保険会社から留守電に連絡が入っており、帰国後早速様子を訊いてみました。 やはりタクシー会社は呑む気配がないそうです。 「そもそも誠意がまったく感じられないんですよ。私が連絡しても、いつも事故担当者が不在ってことで、折り返し連絡をくれるように伝えておいても全然なしのつぶてだし。10回くらいかけてみたんですけどね。ようやくつかまえて、話をしてみたところ、 『1:9というのはあくまで調査会社が出した結果に過ぎないので、うちとしては8:2という見解を見直す気はない』と言うんですね」 と、保険会社の担当者も心底あきれたような声でした。それにしても調査会社の出した結果というのはまるで拘束力を持たないのですね。 この上は裁判所に訴えるしか手はないらしい。ただ、私のクルマが古かったので、賠償がとれるとしてもごく僅かであり、ヘタをすると足が出る可能性もあるとか。 「実は、このまま放っておくという手もあるんですよ。相手の会社は8:2とは言っていても、MICさんの方には何も請求してきていないわけですから、少なくともMICさんが損することはないわけです。同乗者の方の治療費だけはかかりますので、これは私どもの保険で出させていただきますが、その限りではMICさんの保険料が上がることはないですから」 損しないといっても、クルマを失い、廃車手数料その他けっこうな経費がかかってしまっていますので、だいぶ損しているのですが、何しろ古いクルマだとどうしようもないようで、これでは人々が新車ばかり乗りたがるのも無理はないと思われるほどでした。 しかし考えてみると、タクシー会社が聴く耳持たずに粘っているのは、そのまま立ち消えにしてしまうのを見越しているようでもあり、そう考えると腹が立ちます。 赤字覚悟で訴えるべきか、それも馬鹿馬鹿しいと思うべきか、目下迷っているところです。
(2002.5.2.)
【後記】結局、保険会社の助言に従って、「自損自弁」扱いにし、タクシー会社のことは放っておくことにいたしました。どうも業腹ではありますが、裁判もわずらわしいので……
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