アルコールが全く駄目なたちで、ふだん呑み会へ行ってもたいていウーロン茶を飲んでいます。乾杯のビール1杯くらいはなんとか飲むのですが、そのあと注がれても、ほとんど口をつけません。
親しい連中は大体そのことをわかってくれているので、私にはお酒を勧めないのですが、パーティやレセプションに行った時が困ります。たいていそういう場では、私は「お招ばれ」の立場であることが多いもので、皆さんが入れ替わり立ち替わりやって来ては私のコップにビールを注ごうとします。
「私は飲めないので」
と断る場合が多いのですが、局面によってはうまく断れないことがあります。そういう時はひとまず注いで貰うのですが、時々、親切かつ執拗な人がいて、
「まあ、まずそこに入っているのをあけてしまって下さいよ」
などと迫られることがあり、そういう時はうろたえます。
私は縦横ともにかなり大きなサイズなのですが、
「そんな大きななりをして、飲めないはずはないでしょう」
という理不尽なこともよく言われます。からだが大きいこととアルコールに強いことはなんの関係もないと思うのですが、なぜか大柄だと強いと思われるらしい。
アルコールを分解する酵素がある人とない人がいるそうで、ない人の場合血管にそのままアルコールが入って血液中の成分と化合し、アセトアルデヒドという毒物に変化するとか。そのあたりの生化学的なメカニズムはよく理解できていませんが、どうやらそんなことであるらしいです。飲める人でも、酵素の分解速度を上回るペースで飲んでしまうとアセトアルデヒドが合成され、いわゆる宿酔(ふつかよい)の状態になるわけです。飲めない人間が無理に飲むと、宿酔の状態がその場で訪れると言えば、その苦しさがわかって貰えるでしょうか。
「飲んでいるうちに強くなるもんですよ。私だってそうだったんだから、あなただって同じですよ」
と言ってくれる人もいます。しかし以前、3日にあげず飲まざるを得ない機会が続いたことがありましたが、やはりちっとも酒量は増えませんでした。
実は、本来の分解酵素がない人のうち、助酵素というのをもっている人が6〜7割ほどいるのだそうです。この助酵素は、使っていれば活性化し、使わないと不活性になります。「もともと飲めなかったが、訓練したら飲めるようになった」というタイプの人は、この助酵素が働いたものらしいです。このタイプの人たちは、しばらく飲まないでいて再び飲むと、はっきりと弱くなっているのがわかるといいます。
私はどうやら、その助酵素もないようです。アルコールはすみやかに血管に吸収されて、大量のアセトアルデヒドを産出し、頭痛、息切れ、吐き気、酸欠(やたら欠伸が出る)の状態が襲ってきます。アルコールは吸収されてしまっているので、吐き気はしても実際に吐くことができた試しがありません。これははっきり言って非常に苦しい状態です。
これでは、飲みたくなくなるのもご理解いただけるでしょう。
昨夜、久しぶりに、ウーロン茶ではなくて、お店自家製のイチゴ酒の炭酸割を飲みました。大変薄い割り方で1杯だけだったのですが、やっぱり帰り道では頭痛がして、さらに今朝起きてもまだ頭痛が残っています。
体質だから仕方がないとはいえ、時々あまりの弱さに情けなくなることがあります。
こう弱くては、女性を酔わせて口説くことさえできないではありませんか。
ともあれ、お花見や入社祝い、大学の新歓コンパなどで、お酒を飲む機会の多いこの季節。皆さんも無理をせず、おいしく飲むようにして下さい。
(1998.4.1.)
|