恋とはこれいかに
風香さん 1998,11,24.
 親友と先輩。
 どっちも好きで、どっちも大切で。
 二人ともに幸せになって欲しいのに。
 
「つきあうことになりました」
 親友にそう聞いたときの私の声は、予想以上に動揺していた。
 それだけなら、よかったのに。
 放っておいてくれればよかったのに。
 
「お前も大切な人であることに変わりはないから」なんて。
 
「でも、俺はあいつしかいらない」なんて。
 私を抱きしめながら言わないで。
 今さらのように気づいて、でももう遅い。
 つきあいはじめたと聞いてからの方が、私に優しいなんて酷すぎる。

 学科も同じ私と彼女。
 
「仲がいいね」と他の人にも言われた。
 今となってはそれも辛いばかりの言葉だわ。
 流されていく自分も許せない。
 
「あの人とつきあって、幸せになれると思う?」
 まだ私が自分に気づく前に、彼女が私に言った。
 答えられなかった。
 あのときすでに、ワナにはまっていたのかもしれない。
 わかったいたはずなのに。
 深入りはしないと決めていたはずなのに。
 彼女には幸せになって欲しいのに。

 バカみたい。
 私…何なんだろう。
 どうか、叱ってやって下さい。
MIC 1998.11.25.
 同性の親友と、ほのかに想う異性。
 それがいきなり結ばれてしまったら。
 ドラマやマンガでは数多く見られるシチュエーションなのに、自分の身に起これば、やっぱりそれは特別なこと。
 どっちも大切だから、つらいよね。
 どっちかを(あるいは両方を)憎めれば、恨めれば、まだ気が楽なのに。
 どっちもいい人過ぎて、憎めない、恨めない。
 憎んだり恨んだりすれば、ますます自分がみじめになることがわかっているから。
 いいんですよ。
 ここは、そういう人のための場所なんですから。

 風香さんと先輩との仲が、もともとどういう関係だったのかわからないので、確たることは言えないけれど、彼も悩んだんじゃないかな。
 優しくするのは、うしろめたい気持ちがあるからかもしれない。
 平気な顔をして二股かける男もいるんだから、
 
「でも、俺はあいつしかいらない」
と言ってくれたのは、まだましだったと思うべきかも。
 でも、「抱きしめながら」って本当?

 思う存分泣いてから、ルージュを引き直して、次の恋を見つけに行こう。
 前にも書いたけど、複数の人間を愛することはできても、恋することはできないと私は思う。
 だから、新しい恋が見つかれば、古い恋は自然と癒えるよ。

 それまでは、何度でもここにいらっしゃい。

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