MIC's Convenience
第4回オフ会報告(その5)



名古屋の休日


 だーこちゃんも私も、前夜の睡眠時間が著しく少なかったこともあって、零時過ぎには消灯して眠りました。一旦眼が醒めたのを憶えていますが、大体7時くらいまでは眠れたようで、だいぶすっきりしました。
 だーこちゃんは寝起きがあまり良くないらしく、とりあえず起きたあとも何やらぼんやりとしています。私は起床時間にかかわらず、眼が醒めるとわりとすぐ行動に移れるほうなので、だーこちゃんがぼんやりしている間に洗顔、上厠などを済ませました。
 朝食はホテルで食べました。私はホテルのサイトにあったモーニングセットのクーポン券をプリントアウトして持って行きましたが、これはトーストとコーヒーだけのコンティネンタル・ブレックファストが無料になります。私はそれで充分でしたが、だーこちゃんは若いだけにそれだけでは足りず、サラダと卵料理が加わった洋定食をオーダーしていました。こちらは無料にはなりません。


 さて、午前中はだーこちゃんとは別行動をしようかとも思っていたのですが、お互い別に決まった予定があるわけでもないし、結局一緒に動くことにしました。ホテルの近くにはそれなりに面白そうな施設もあったのですが、この日は月曜日で、月曜日休館というところが甚だ多く、あんまり行く場所がなさそうでした。
 やむを得ず、テレビ塔へ向かいました。名古屋のテレビ塔は東京タワーに先立って建てられた、日本最初の集中電波塔です。
 名古屋もこの3日から急に暑くなったそうで、朝といえど歩いていると汗がだらだらと流れてきました。持参のタオルで額や首筋を拭き拭き、しばらく歩いてテレビ塔へ着きました。
 ところがテレビ塔は10時開館とかで、まだ30分ばかり時間があります。外で待っているのも暑いので、近くのドトールへ入って涼むことにしました。
 私は冷たい飲み物だけ注文しましたが、驚いたことにだーこちゃんは、朝食からまだ1時間ちょっとしか経っていないのに、トーストとサンドイッチをオーダーして食べています。

 「へえっ、まだ食べるんだ」

 「おなかが空くんですよ〜」

 そのうちテレビ塔が開いたので、エレベーターで展望台へ上りました。ところが、だーこちゃんは高所恐怖症らしく、四方ガラス張りのエレベーターの中ですくんだようになっていました。
 展望台に着くと、

 「このくらいしっかりしていれば大丈夫ですけどね」

 と言っていましたが、この展望台は屋根の上に出られるようになっており、もちろん頑丈な柵はついているのですが、そちらへ上がるともうパニック状態になっています。

 「なんか揺れてるみたいですぞ」

 と私がそばで足を踏みならすと、だーこちゃんは震え上がって、

 「勘弁してくださいよ〜、もう、ほんと」

 と悲鳴を上げました。
 下の土産物売り場でだいぶ長い時間を過ごしましたが、何も買うことなく塔を出ました。だーこちゃんは小銭入れの口が壊れていたので、自分用に新しい小銭入れだけ買っていました。


 荒尾漆黒斎宗匠との待ち合わせまではまだしばらく時間がありますので、塔に隣接した「オアシス21」という観光スポットへ足を運びました。ここは最近できたばかりの施設のようで、数年前に私がこのあたりを訪れた時にはまだ工事中だった記憶があります。
 4層からなっており、最上層は「水の宇宙船」と称され、ガラス張りの舟形の屋根の上を歩けるようになっています。周縁部が遊歩道になっており、中央部は水が張られて噴水などもあり、とても涼しげです。遊歩道の部分はガラスが不透明になっていますが、水が張られた部分は最下層の青い地面がそのまま吹き抜けで見えるようになっていました。だーこちゃんが近寄ろうとしなかったのは言うまでもありません。
 2層目が「緑の大地」でこれが地上とつながっています。芝生が植えられていて、ちょっとした公園になっています。
 3層目(地下1階)はのバスターミナルになっていました。栄は名古屋の中心部と言ってよい地域で、交通の要衝でもあるわけですが、大規模なバスターミナルを地下に作ったのは良いアイディアだったと思います。地上の渋滞も多少は緩和されたのではないでしょうか。
 そして最下層は「銀河の広場」と称するショッピングモールになっていました。私たちは以上をひとめぐりして、「銀河の広場」の中にあるスターバックスに入ってひと息つきました。ここでは私も小腹がすいたのでピーチパイを一個オーダーしましたが、だーこちゃんはまたもや相当にボリュームのありそうなサンドイッチをぱくついていました。

 「おいおい、宗匠に会ったらすぐお昼ご飯だよ。そんなに食べて大丈夫?」

 私は驚いて訊ねましたが、だーこちゃんは平然と、

 「おなかが空くんですよ〜」

 だーこちゃんは最近運動不足を痛感してトレーニングを始めたらしいのですが、どう見ても消費カロリーより摂取カロリーの方が数段上回っているのではないかと思わざるを得ませんでした。


 バスターミナルからバスに乗って、宗匠と待ち合わせた「メルサグルメ館」の最寄りである柳橋まで行きました。バスに乗ってみると、結構歩いてきたものだと思います。
 メルサグルメ館を難なく見つけ、ロビーに入って待ちました。バス停からここまで歩くのでもかなり汗だくになるほど暑かったので、持っていたペットボトルのお茶を取り出して飲もうとしたら、黒背広のおっさんが来て、

 「ここでのご飲食はご遠慮願います」

 とニコリともせずに言いました。やれやれ。
 そのうちメルさんがやって来ました。夏休み中なので来ることができたのと、漆黒斎宗匠とは面識があったので、この日も参加するということになっていたのです。

 「昨日、あんなに笑って筋肉痛にならなかった?」

 「なりましたよ〜〜。今朝なんかおなかが痛くて」

 そう答えるメルさんの顔色は、前日よりもずっと良くなっていたようでした。大笑いに笑って、風邪を吹き飛ばしてしまったのでしょう。
 続いてモナリザ・もういらない子さんが登場。彼女は私とは初対面となる漆黒斎夫人の親友なので、この場に特に招かれたのでした。
 やがて漆黒斎夫妻も到着し、久闊を叙しつつ2階のレストランへ。漆黒斎宗匠とは、学生時代から卒業後数年にわたって親しくしていただいたのですが、その後宗匠が名古屋へ移ってからは一度も会ったことがありませんでした。ただ、皆様ご存じの通り、掲示板の常連となっておられるので、なんだかそんなに長いこと会っていなかったような気がしません。変わらないなあという印象の方が強かったのでした。


 メルさんは宗匠の奉職する大学の学生ではありませんが、講習会などで宗匠の講義を受けたことがあり、従って「○○○先生」としてのみ宗匠を知っていたわけです。宗匠は夫人同伴だったせいか、昔ほどハジけた観はありませんでしたが、それでも想像外の一面を見て、メルさんは驚いていたようでした。
 それにしても彼女、参加したはいいものの、おおむね10歳から20歳以上も齢上のおっさんやお○○ん(自粛)ばかりの中に混じって、面白かったのかしら。やや口数が少ないように思えました。ネット上の多弁なキャラクターを見慣れているためで、元来ナマの性格としては物静かなタイプなのかもしれませんが。
 もっとも、しばらくするとまたもや笑いの発作に襲われ、だーこちゃんを見ては爆笑していましたので、あんまりしゃべる余裕がなかった可能性も。どうも完全にだーこちゃんの顔がメルさんの笑いのトリガーになってしまったようです。別にだーこちゃんの顔が変だとか振る舞いが可笑しいとかいうのではなく、こうなってしまうと理屈も何もないのでした。


 レストランを出てから近くの甘味処に場所を移し、3時間半ほど歓談いたしました。
 漆黒斎宗匠はご自分が結婚してから、むやみと周囲の人間に結婚を薦めて廻るようになり、目下モナリザ・もういらない子さんがその標的になっていました。それというのもモナリザ・もういらない子さんにはすでに一年以上返事を待たせているお相手が居て、なおかついまだに煮え切らない様子なもので、職場の上司である漆黒斎宗匠がやきもきしている状態なのでした。
 今日の話題もなんとなくそっち方面に傾くことが多かったようで、いよいよもって十年ぶりに会った気がしませんでした。
 モナリザ・もういらない子さんにとっては、あまりにもいつもの話題だったようで、宗匠の「早く結婚してしまえ」攻撃をのらりくらりとかわしまくっています。どうもかわし方ばかり上達した観もあって、こんなんで肝心の結婚話はどうするんだろうと思いました。


 17時になって、漆黒斎夫妻はお子さんを迎えに行かなければならないとかで退席しました。残りの4人は、さらに45分ばかり粘ってから店を出て、名古屋駅前で解散しました。モナリザ・もういらない子さんは地下街で買い物をして帰るとか。メルさんは名鉄乗り場に去り、だーこちゃんは新幹線の切符を買ってから駅構内のそば屋へ入って行きました。ちょっと、マジで食べ過ぎなんでないかい??
 私は大垣のホテルをとっていたのでJR在来線の改札へ向かいました。どうせ名古屋まで出てきたのだから、少し足を伸ばして3日ほど旅をしてこようと思っていたのです。その旅の話はまた場を更めて述べるつもりですが、ともあれここまででも充実した2日間だったと思います。
 私のような仕事をしていると、仕事仲間以外の人と会う機会がとても貴重に思われるのです。そういう機会があれば、迷わずつかみたいと思っています。
 参加者の皆さんとまた会うことがあるかもしれません。あるいは本当に一期一会で終わってしまうかもしれません。でも、どちらにしても私にとっては嬉しい出逢いであると感じられるのです。
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